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水道事業の持続力

【速報】会津若松市、日本DX大賞2026で「優秀賞」×「オーディエンス賞」ダブル受賞

― 現場発の水道DXが、“人”を動かし、全国の共通知になる日 IoT×官民連携で実現した「水道工事施工情報システム」の実装化 ―
地域水道の持続を守る水道工事DX戦略

「日本DX大賞2026」表彰式のステージで、「サステナビリティ部門 優秀賞」と「オーディエンス賞」の受賞パネルをそれぞれ掲げる会津若松市の受賞者お二人が中央に。背景に「日本DX大賞2026」のロゴ。

現場発の水道DXが、審査員と会場の“共感”を同時に勝ち取った。

この記事でわかること

2026年7月23日、会津若松市上下水道局が「日本DX大賞2026」でサステナビリティ部門“優秀賞”と“オーディエンス賞”をダブル受賞しました。
本記事では、以下の内容を速報としてお届けします。


2026年7月23日、東京・京橋のTODAホール&カンファレンス東京で開かれた「日本DX大賞2026 サミット&アワード」表彰式。会津若松市上下水道局が、応募総数186件から選ばれた24プロジェクトの中で、サステナビリティ部門「優秀賞」と、全ファイナリストの中で最も多くの一般視聴者票を集めた「オーディエンス賞」のダブル受賞を果たしました。
受賞テーマは「IoT×官民連携で実現する『水道工事施工情報システム』の実装化 ― 地域水道の持続を守る水道工事DX戦略」。評価されたのは、これからの水道インフラの危機に対する“切迫感”と、それをDXで打ち破る“三位一体”の戦略――この二つを、現場の担い手の視点で示した点でした。
そして特筆すべきは、審査員だけでなくプレゼンを見た一般の視聴者から最多の支持を集めたということです。受賞後、遠藤氏のもとには「お人柄がオーディエンス賞につながった」という声が数多く寄せられたといいます。技術の高さだけでなく、その背景にある“人”と“想い”が共感を呼んだ――それがこのダブル受賞の本質でした。

本記事で押さえる3つの用語

日本DX大賞

事業変革・組織変革に取り組む実践者を表彰する国内アワード。2026年は応募186件から全6部門24プロジェクトが受賞。

三位一体(ヒト・モノ・カネ)

管路の老朽化・技術者不足・担い手不足という“三重苦”を、どれか一つではなく一体で解こうとする会津若松市の戦略の考え方。

水道工事施工情報システム

継手接合のチェックをスマートフォン等でIoT化し、記録をクラウドに保存する仕組み。帳票が自動で整い、現場の書類作業を軽減する。

01 受賞の概要と評価ポイント(危機の切迫感ד三位一体”の打破策)

会津若松市が挑んだ課題は、決して特別なものではありません。①管路の老朽化、②水道技術職員の減少、③現場の担い手(配管工)不足という、全国どの水道事業体も直面する“三重苦”です。
会津若松市が示したのは、この危機を「どれか一つ」で補うのではなく、ヒト・モノ・カネを“三位一体”で一体的に解くという戦略でした。日本DX大賞の審査でも、この「危機の切迫感」と「三位一体の打破策」こそが、受賞の決め手として挙げられています。

キーメッセージ:受賞の本質は“ゴール”ではなく、業界全体で共有する“共通知の起点”づくり。

02 “今あるものを活かす”という発想で実現した水道工事施工情報システムの実装化

会津若松市が選んだのは、真新しい特別なシステムではありませんでした。既にあるスマートフォンと専用測定機器を組み合わせ、現場の“当たり前”を少しだけ変える――継手接合のチェックをIoT化し、記録をクラウドに保存する「水道工事施工情報システム」の導入です。
実証実験(令和2年度)→試行導入(令和3年度)→交付金を活用した本格展開(令和4年度〜)と段階を踏み、「実証で終わらせない」ことを最初から意識。効果を数字で可視化しながら、最終的には発注仕様そのものにDXを組み込むという、多くの事業体が越えられない壁を突破しました。

「日本DX大賞2026 サミット&アワード」サステナビリティ部門のプレゼンテーションスライドを撮影した写真。会津若松市上下水道局 遠藤 利哉氏の自己紹介と、「水道工事施工情報システムの実装化 ― 地域水道の持続を守る水道工事DX戦略」の取り組み概要が示されている。手前には聴講者の姿。

表彰式で示された取り組みの概要。“今あるもの”を活かし、IoT×官民連携で「水道工事施工情報システム」の実装化を進めた。

03 現場が実感した具体的な変化

・継手チェックシートやボールペンを現場に持ち歩く必要がなくなった
・測りにくかった管底部も、機器を押し当てるだけで確実に判定できる
・チェック作業をしていれば、そのまま帳票が完成している
・書類の作成時間が一日平均でおよそ22分削減された

この“変化”によって空いた時間が、若手を現場に連れ出して“考える時間”になった。――実装化の意義は、効率化そのものではなく、その先に生まれた余白でした。

結論:DXの価値は“作業を速くする”ことではなく、“人が考える余白”を生むこと。

04 「水道番長」遠藤氏が語る受賞の本当の意味

受賞の中心にいるのは、29年間“水道一筋”で歩み、「水道番長」としてSNS発信を続ける遠藤氏。受賞直後、遠藤氏が自身の言葉で綴った想いには、この取り組みの原点が凝縮されていました。

「今回の受賞は、決して私一人の力ではありません。日々、現場で汗を流し、市民のために黙々と仕事をしている職員がいるからこそ、私はその思いを外へ発信できるのです」

遠藤氏は「すべての人に好かれようとは思っていない」と率直に語ります。人には共感する人・合わない人・どちらでもない人がいる――そんな“2:6:2”を自然なものとして受け止めたうえで、それでも発信を続ける理由をこのように述べています。

「私が目指しているのは、自分のためでも、今のためでもなく、将来の水道を守ること。未来の世代が安心して水を使える社会を残すことです」

05 立場を超えて水道の未来を語り合うコミュニティ構想

そして遠藤氏は、受賞をひとつの通過点として、次の目標を見据えています。それは、メーカー・企業・工事事業者・自治体・学識者が、それぞれの立場を超えて“水道の未来”を語り合えるコミュニティづくり。「共感してくださる方がいるとすれば、それは私自身にではなく、『水道の未来を一緒に考えたい』という思いに共感してくださっているのだと思う」――その言葉には、個人を超えて“場”をつくろうとする水道番長の次なる挑戦が滲みます。
そして、最後に添えられたのはたった一言。
「水道LOVE」。
この飾らないひと言こそ、オーディエンス賞を引き寄せた“お人柄”の正体なのかもしれません。

パネルディスカッションの一場面。会津若松市上下水道局 遠藤 利哉氏が、マイクを手に身振りを交えて語っている。胸には受賞者を示す赤いリボン。手前には聴講者の姿。

立場を超えて“水道の未来”を語り合う。次は“三者鼎談”へ。

本文のまとめ

会津若松市の受賞は、管路の老朽化・技術者不足・担い手不足という全国共通の“三重苦”に対し、ヒト・モノ・カネを“三位一体”で解く戦略を、現場の担い手の視点で示した点が評価されたものです。特別なシステムを新設するのではなく、“今あるもの”を組み合わせて発注仕様に組み込み、実証で終わらせず本格運用へ育てたプロセスに、他事業体が再現できるヒントが詰まっています。
そして、この取り組みを全国の“共通知”へと押し上げたのは、「水道LOVE」を掲げ発信を続ける遠藤氏の“人”と“想い”でした。受賞は「ゴール」ではなく「共通知にする起点」。会津若松モデルは、特別な予算や人材がなくても、“次世代に水道を引き継ぐ”という共通の課題意識さえあれば、どの地域でも再現できる――そう語りかけてくれます。

結びの一文

「水道LOVE」――その飾らないひと言が、技術を“共感”に変えた。
会津若松の一歩は、次の事業体の背中を押す。受賞は終わりではなく、みんなで水道の未来を語り合う“場”の始まりです。

この記事を仲間に共有するときの3つのポイント

課題は“特別”ではない

「うちも同じ三重苦」と気づいてもらう。会津若松は特別事例ではなく“再現できるモデル”だと伝える。

“今あるもの”を活かす

新規投資ありきではなく、既存のスマホ+機器で始められる。“実証で終わらせない”設計がカギだと共有する。

動かすのは“人”と“想い”

技術の高さだけでなく、発信と共感が全国展開を生む。まず一人の一歩から、と伝える。

まとめ

  • 会津若松市上下水道局が「日本DX大賞2026」でサステナビリティ部門“優秀賞”+“オーディエンス賞”をダブル受賞(応募186件/受賞24プロジェクト)。
  • 評価の核は「水道インフラの危機の切迫感」と「DXによる“三位一体”の打破策」。
  • “今あるもの”(スマホ+専用機器)を活かした水道工事施工情報システムを、実証→試行→本格展開と段階を踏み、発注仕様に組み込んだ。
  • 現場では書類作成時間が一日平均およそ22分削減。生まれた“余白”が、若手を育てる“考える時間”になった。
  • 受賞を全国の共通知へ押し上げたのは、「水道LOVE」を掲げる遠藤氏の“人”と“想い”。
  • 次は、発注者・受注者・技術提供者による“三者鼎談”へ。9月頃公開予定。

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この記事の取材先

会津若松市上下水道局 上水道施設課長 兼 水道技術管理者

遠藤 利哉 氏(会津若松市上下水道局)/ 株式会社クボタ パイプシステム事業部(技術情報提供)

29年間“水道一筋”で歩み、自らを「水道番長」と名乗ってSNS発信を続ける。IoT×官民連携による水道工事DXで日本DX大賞2026 ダブル受賞。