水道工事の現場力
現場で慌てない! GX形施工で“押さえておきたい”確認ポイント3選
第2回|切管用挿し口リングを正しく使う編
この記事でわかること
GX形の直管を切管する現場では、切管用挿し口リングによる突部形成の可否が耐震性能を左右します。本記事では、耐震性能発揮のために重要な切管時の挿し口加工に絞って、溝切の要否判断、専用チェックゲージによる全周確認、面取り・バリ取り、端面補修用塗料の塗布まで、現場で迷わず実践できる要点を整理しました。※本記事は呼び径450以下を対象としています。呼び径500以上は別途、接合要領書をご確認ください。
01 切管時は「溝切が要るケース」を見落とさない(挿し口リング:溝切+ゲージ確認)
GX形ダクタイル鉄管の挿し口には突部があり、地震時に挿し口が抜け出そうとしても、この突部が受口内部のロックリングに引っかかることで、離脱を防止します。しかし、GX形の直管を切管して使用する場合、切管した箇所には突部がないため、施工時に適切な処理が必要です。
処理方法には、切管ユニット(P-Link/G-Link:現地で溝切不要のユニット)を使用する方法と、切管用挿し口リングを用いて突部を形成する方法があります。切管用挿し口リングを使用する場合は溝切等の加工が必要となりますが、溝切が不適切だと、継手が離脱しGX形の優れた耐震性能が発揮できない可能性があります。
切管した箇所には突部がないため、そのままでは離脱防止機構が働かない
GX形の耐震性能は、挿し口の突部と受口内ロックリングの引っかかりで実現される
NG例:
- 切管用挿し口リングを使うのに溝切が浅い、所定位置からずれている
- 切断・溝切後の面取り・バリ取りが不十分になっている
溝切位置のずれ・浅さ:挿し口リングが正しく機能しない原因になる
バリ取り不足:挿入時にゴム輪を傷つけ、漏水の原因になる
現場での確認ポイント:
接合要領書に沿って、特に下記の点に注意して加工を行います。
- まず、切管の方法(切管ユニット/挿し口リング)と直管の管厚を確認
- 通常の切管用挿し口リングなら切管には1種管を使用して、溝切・切断、面取りを行う
- 専用チェックゲージで溝の深さ・位置を全周確認する
- 端面のバリ取りをして、端面に「ダクタイル鉄管切管鉄部用塗料(端面補修用塗料)」を刷毛でむらなく塗る(※「外面補修用塗料」は用途が異なりますので使用しないでください)
切管用挿し口リング取付けの作業手順フロー:1種管の確認から切管
鉄部用塗料の塗布まで、接合要領書に沿って進める
確認・施工のポイント:管厚(1種管)の確認、切管鉄部用塗料のむらなき塗布、専用ゲージによる溝切位置・深さの全周確認
02 これで解決!現場をスムーズに回す実践アドバイス(よくある勘違いQ&A)
Q1.切管があるとき、溝切は必ず必要?
A.切管の方法によります。切管用挿し口リングの場合は溝切が必須です。作業前に「切管ユニットか、挿し口リングか」を確認し、挿し口リングの場合は溝切後に専用チェックゲージの確認も行います。
Q2.切管ユニットと挿し口リングに共通する注意点は?
A.切管端面のバリ取りと「ダクタイル鉄管切管鉄部用塗料」の塗布です。バリ取りが不十分だと挿入時にゴムを傷つける可能性があります。また、切断した断面に「ダクタイル鉄管切管鉄部用塗料」を刷毛でむらなく塗らないと、腐食の原因になります(スプレータイプの外面補修用塗料はNGです)。
Q3.直管なら何でも切管できる?
A.主に切管の方法と口径によります。通常の切管用挿し口リングを使用する場合、厚い1種管を使用し、薄いS種管は使用できません。また、呼び径300以上の場合は原則、通常の直管とは区別される指定切用管を使用します。
Q4.継ぎ輪へ繋ぐ場合は「継ぎ輪接合用」挿し口リングしか使えない?
A.1種管を切管する場合は、通常の切管用挿し口リングが使用できます。「継ぎ輪接合用」を使用するのは、S種管等の薄い既設管を継ぎ輪につながなければならない特別な場合です。詳しくは「便覧」(日本ダクタイル鉄管協会)の「現地で切管によって挿し口を形成する場合の適用管種(管厚)」をご確認ください。
参考リンク:https://www.jdpa.gr.jp/download/binran15/440_siryou10.pdf
03 ゲージのチェックを忘れずに!
溝加工後は、呼び径ごとに用意された専用チェックゲージで、溝の位置と溝の深さを全周にわたり確認します。呼び径に合ったチェックゲージを使用することが前提です(薄板ゲージや他管種用ゲージでの代用は不可)。
呼び径300〜450用チェックゲージで溝の位置・深さを全周確認(呼び径に合ったゲージを使用)
※出典:日本ダクタイル鉄管協会(JDPA)施工動画のキャプチャから引用。
04 施工情報システムIIで「チェック漏れ」と「記録の手間」を減らす
切管の手順に限らず、ダクタイル鉄管の施工は接合要領書に則り実施するのが大切です。一方で、忙しい現場ほど「確認はしたが記録が後回しになる」「転記ミスや書き忘れが発生する」といった課題も起こりがちです。
施工情報システムIIを活用すれば、
- 管種に合わない切管処理方法の選択防止
- 使用管材に対応する接合要領書の即座の閲覧
- 使用材料の自動集計
といった形で、接合要領書通りの確認を「続けやすい仕組み」として現場に定着させることができます。
次回予告
次回は「挿し口挿入量の管理の確認ポイント」について解説します。
まとめ|第2回のポイント
- 切管用挿し口リングを使う場合は溝切が必須
- 溝の深さ・位置は専用チェックゲージで全周確認
- 面取り・バリ取りまで確実に行うことが重要
- 切管端面にはダクタイル鉄管切管鉄部用塗料(端面補修用塗料)をむらなく塗布し、耐震性と防食性を確保








